胃透視検査(上部消化管造影検査)

Maag
胃透視検査(上部消化管造影検査)は簡易に行うことができ、人間ドックなどで多用されている。

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●方法(二重造影像)

検査前日の夕飯以降は食事をせず、飲水は深夜0時までとする。
当日は検査が終了するまで飲水及び喫煙は避ける。
高血圧等の服薬の際はコップ1杯程度の水で服用し、糖尿病薬は服用しない。
5分前に胃腸の動きを抑える筋肉注射(抗コリン剤:ブスコパンの筋注)をし、検査の直前にバリウム(レントゲンにうつる造影剤)と発泡剤(炭酸ガスにより胃を膨らませる薬)を飲む。
約10分間、体や台を動かし、いろいろな角度から撮影を行う。
検査中はげっぷを我慢する。
検査後は水分を多めにとり、下剤を服用する。
検査当日は飲酒をしない。
筋肉注射による副作用で眠気や目の調節障害によるチカチカが起こるため、検査後6時間は車を運転しない。
検査後24時間以上排便がないとき、3日以上便が白いとき、検査後腹痛・嘔吐・腹部膨満感があるときは医師に相談する。

●禁忌・注意事項

消化管穿孔、急性腹症、バリウムアレルギーは禁忌である。
腸閉塞の合併症を防ぐため、1年以内に腹部手術がある場合や腸閉塞(イレウス)の既往がある場合は行わない。
妊娠中あるいは妊娠の可能性がある場合は行わない。
水分制限が必要な心不全などの患者は施行しない。
麻痺などで体位変換ができない患者は施行しない。
重度の高血圧(180/110以上)では脳卒中などの合併症のリスクがあり、施行しない。
重症の便秘症の場合、大腸憩室炎も施行しない方が望ましい。
また、緑内障、心疾患、前立腺肥大がある場合はブスコパンではなくグルカゴンを用いる。
低血糖発作を防ぐため、糖尿病薬は内服しないで行う。

●合併症・副作用

バリウムアレルギー
バリウム腹膜炎
憩室炎
腸閉塞
便秘
誤嚥性肺炎
血圧上昇による脳卒中など
転倒・転落による骨折など

●胃カメラとの比較

胃透視検査(上部消化管造影検査)は胃カメラ(内視鏡検査)に比べ、患者の負担が少なくレントゲン技師がいれば行うことができ、大まかな異常を発見することができるため、健康診断で多用される。
一方、内視鏡検査は咽頭反射の苦痛があるが、早期に確実に診断でき、診断と同時に詳細な検査や治療も行うことができる。
食道病変、早期胃がん、胃炎などは消化管造影検査では見逃すことが多い。

●胃の解剖

食道
胃噴門部
胃穹窿部(胃底部)
胃体上部
胃体中部
胃体下部
胃角部
前庭部
幽門部
十二指腸球部
十二指腸下行脚

●上部消化管造影の用語

・胃炎、胃潰瘍、胃潰瘍瘢痕、胃ポリープなどの疾患名
・陰影欠損:腫瘍やポリープなどの隆起性病変により、白いバリウムの中に黒い虫喰い像を認める
・透亮像:腫瘍やポリープなどにより、周囲に比べて黒く写る
・ニッシェ:潰瘍により陥凹部にバリウムが白く溜まる
・ひだ集中:潰瘍や腫瘍により粘膜ひだが一か所に寄り集まる
・粘膜不整:潰瘍や腫瘍により粘膜が不整になる
・バリウム斑:潰瘍や腫瘍により陥凹部にバリウムが溜まる
・二重輪郭:潰瘍や潰瘍瘢痕により胃の辺縁が二重に写る
・辺縁不整:潰瘍や腫瘍により陰影の辺縁が不整になる
・胃陥凹性病変:潰瘍や腫瘍により表面が凹んだ性状
・狭窄:潰瘍瘢痕や腫瘍により内腔が狭くなっている
・憩室:壁が一部外方へ袋状に突出している
・進展不良:潰瘍や腫瘍により内腔が広がらない

●上部消化管造影の判定

A:異常なし
B:軽度異常
C:要経過観察・要生活指導、要再検査
D:要医療 (D1:要治療、D2:要精密検査)
E:治療中
D1、D2の区別が判断できない場合は、判定区分「D:要医療」とする。
主治医等で非治療にて経過観察中の例や術後経過観察中の例等は判定「C」とする。

・異常なし:A
・食道隆起性病変:D2
・食道陥凹性病変:D2
・食道がん:D2
・食道腫瘍:D2
・食道潰瘍:D2
・食道ポリープ:C
・食道憩室:B
・食道静脈瘤:D2
・食道炎:D2
・アカラシア:D2
・胃隆起性病変 (ポリープを除く):D2
・胃陥凹性病変 (胃潰瘍を除く):D2
・胃粘膜化腫瘍:D2
・胃潰瘍:D1
・胃潰瘍瘢痕:C
・胃がん:D2
・胃ポリープ:C
・胃憩室:B
・急性胃(粘膜)病変:D1
・胃びらん(表層性胃炎は除く):B
・慢性胃炎(萎縮性、過形成、肥厚性など):C
・十二指腸潰瘍:D1
・十二指腸潰瘍瘢痕:C
・十二指腸憩室:C
・胆石:C
・内臓逆位:B

参照:人間ドック学会ガイドライン一覧上部消化管エックス線健診判定マニュアル

●胃潰瘍

・原因

ピロリ菌感染、胃酸過多、NSAIDsの多用など。

・症状

上腹部痛

・消化管造影検査

ニッシェ(バリウムが白く溜まる)と粘膜ひだの集中像
粘膜ひだが引きつれると、線状潰瘍を呈する。
十二指腸潰瘍では袋のようなタッシェができ、十二指腸がクローバー様に変形する。

・治療

ピロリ菌除菌、抗H2受容体拮抗薬、PPIなど

●胃癌

・原因

ピロリ菌感染など。

・症状

長い期間無症状だが、潰瘍を併存すると上腹部痛や胸やけなどの症状を起こす。

・消化管造影検査

Gastric carcinoma2
隆起性病変では陰影欠損
陥凹性病変ではバリウムが溜まり、ニッシェ様陰影

・治療

手術

●胃ポリープ

・原因

ピロリ菌感染など。

・症状

無症状

・消化管造影検査

隆起性病変であり、陰影欠損

・治療

経過観察

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