カポジ水痘様発疹症

●概念
単純ヘルペスウイルスⅠ型(HSV-1)が経皮感染して汎発性に発症したもので、初感染及び再発で起こる。基礎疾患としてアトピー性皮膚炎患者がほとんどだが、尋常性乾癬、ダリエー病、脂漏性皮膚炎、天疱瘡、紅皮症、魚鱗癬、熱傷、日焼けなどの皮膚炎上に発症することが多く、皮膚のバリアーが破壊してHSVが経皮感染して発症することが考えられている。本症はアトピー性皮膚炎患者の重症者に多く、軽症のアトピー性皮膚炎患者では、口唇ヘルペスや限局した顔面の単純ヘルペスで終わり、カポジ水痘様発疹症に発展することは少ない。
単純ヘルペスⅠ型(HSV-1):口唇ヘルペス、ヘルペス口内炎、ヘルペス角膜炎、ヘルペス脳炎、カポジ水痘様発疹症、性器ヘルペスを起こすこともある
単純ヘルペスⅡ型(HSV-2):性器ヘルペス、新生児ヘルペス、ヘルペス髄膜炎、ヘルペス脊髄炎
水痘・帯状疱疹ウイルス:水痘、帯状疱疹
ヘルペスウイルス6・7型:突発性発疹、熱性けいれん、ヘルペス脳炎
●症状
水疱、疼痛、掻痒、リンパ節腫張、発熱
●好発年齢
0~5歳の子供に多かったが、現在は20代と30代にピークを認め、若年者ではHSVの初感染例が多いが、近年HSVの抗体保有率が30歳代で47%と低くなっているために、成人でも初感染がみられるようになってきている。
●合併症
初感染では全身感染がみられ、肝障害などを起こし易い。ごく稀に肺炎、食道炎、脳炎などの全身感染症状が見られ、死亡することがある。とくに、免疫不全者ではウイルス血症を起こして全身感染し、顔面では、角膜ヘルペスを合併することがあるので注意する必要がある。また、アトピー性皮膚炎病変自体が黄色または表皮ブドウ球菌が多く存在するので、伝染性膿痂疹やその他の細菌二次感染を起こし易い。カポジ水痘様発疹症は初感染の場合、重症化し、治癒までに2~4週間の日数がかかる。
●検査
水疱底面より細胞を採取し、ギムザ染色を行って、ウイルス性巨細胞を証明するか、または採取した細胞をHSVのモノクローナル抗体で反応させ、HSV感染の有無を証明しなければならない。なお、ウイルス性巨細胞の証明だけでは水痘や帯状疱疹との鑑別はつかない。
ペア血清でHSV抗体価が有意に上昇する。
初感染では、HSVは-IgM抗体が10日目頃より出現する。
●治療
・軽症
ゾビラックス 200mg 5T 分5 5日
ゾビラックス 40mg/kg/d 分4 5日
バルトレックス 500mg 2T 分2 5日
バルトレックス 25mg/kg/d 分2 5日
・中等症、免疫機能の低下した患者
ゾビラックス 400mg 5T 分5 7日
ゾビラックス 80mg/kg/d 分4 7日
バルトレックス 500mg 6T 分3 7日
バルトレックス 75mg/kg/d 7日
・重症(発疹が全身に広がる、発熱が続く)
ゾビラックスDIV 250mg/回 3回 7日間
ゾビラックスDIV 5mg/kg/回 3回 7日間
・ステロイド
ステロイドやプロトピック塗布で増悪することがあるので、注意が必要である。塗り薬はアズノールなどが無難。
・細菌感染を合併した場合
糜爛期、痂皮期になると、細菌感染を起こす場合が多く、単純ヘルペスから伝染性膿痂疹へ移行することもある。糜爛期、痂皮期のものは滲出液を顕微鏡下で菌要素の有無をチェックし、適宜細菌培養などを行う。細菌感染があれば、抗生物質の全身投与を行う。細菌感染のおそれのあるものでは、抗生物質の外用剤を予め併用することもある。
・眼の近くに発疹がある場合
予防的にゾビラッ クス眼軟膏を1日5回、クラビット点眼を1日3回
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