B型肝炎

●概念
日本では約1%の感染者がいる。
・垂直感染(母子)
出生時感染→持続感染(キャリア)→10%は慢性肝炎→10%は肝硬変→10%は肝細胞癌
・水平感染(性行為、輸血、刺青)
成人期感染→一過性感染→20%は急性肝炎→1%は劇症肝炎
●検査
・血液検査
・ウイルス検査
seces 抗原→抗体
HBs抗原→HBe抗原→IgM-HBc抗体→IgG-HBc抗体→HBe抗体→HBs抗体
HBs抗原:陽性であればHBV感染を示す。
HBs抗体:中和抗体であり、陽性であれば既感染・治癒を示す。
HBc-IgG抗体:陽性であればHBV感染を示す。多くの場合HBs抗原陽性であるが、HBs抗原陰性であってもHBc抗体陽性であればHBV感染の場合もある。スクリーニング検査でHBs抗体陽転の際に測定する。HBV感染であればHBc抗体陽性となりワクチンによるものであればHBc抗体は陰性である。
CLIA法:>10 高力価 持続感染
<10 低力価 感染既往、一過性感染
200倍希釈:>90% 高力価 持続感染
<90% 低力価 感染既往、一過性感染
HBc-IgM抗体:初期感染急性期または慢性肝炎急性増悪期に上昇傾向を示す。
HBe抗原:HBV量が多いことを示す。
HBe抗体:HBV量が少ないことを示す。
HBV-DNA:HBVのDNA量を直接測定したもの。リアルタイムPCRが用いられる。
※HBs抗原陰性でHBc抗原陽性の場合
HBs抗原陰性でHBc抗体陽性の場合、HBs抗体の有無にかかわらずHBV既往感染であることを示し、体内にHBVが潜伏感染していることが最近の研究で明らかになっている。健常者では臨床上問題ないが、何らかの要因により免疫能が低下するとHBVが再増殖し、B型肝炎が再燃することがあるため、免疫抑制剤や抗がん剤などの使用に際してはHBs抗原、HBs抗体とともにHBc抗体を測定し、HBV-DNAが検出以下であることを確認する。

HBs抗原 HBs抗体 HBe抗原 HBe抗体 HBV-DNA 臨床像
(-) (+) (-) (-) (-) 既感染・治癒
(+) (-) (-) (+) (-) HBe抗体陽性無症候性キャリア
(+) (-) (+) (-) (+) HBe抗原陽性無症候性キャリア
(+) (-) (+) (-) (+) 慢性B型肝炎

・肝障害
ALT ・AST
・肝線維化
IV型コラーゲン ・ヒアルロン酸 など
・肝機能
血小板 (Plt)プロトロンビン時間 (PT)アルブミン (Alb)、コリンエステラーゼ (ChE) など
・肝細胞癌の腫瘍マーカー
AFP 、AFP-L3、PIVKA-II、
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●治療薬剤
慢性B型肝炎の治療の目的は、慢性肝炎の沈静化(ALTの正常化)と、その後の肝硬変への移行・肝細胞癌発症の阻止にある。急性B型肝炎は基本的に保存的加療がなされる。
・抗ウイルス療法
抗ウイルス治療はB型肝炎ウイルスを排除する治療である。B型肝炎ウイルスは自然経過において排除抗体(HBs抗体ないしHBe抗体)を取得し、ウイルスの活性化が沈静化していき、これを「セロコンバージョン(seroconversion)」と呼ばれているが、抗ウイルス治療はこれを促していくことを目標としていく。治療適応は「HBe抗原陽性無症候性キャリア」・「慢性B型肝炎」・「B型肝硬変」である。
抗ウイルス治療の基本は、以前はインターフェロン(IFN)であったが、核酸アナログ製剤の登場によって治療成績も改善している。ただ、核酸アナログ製剤には、耐性ウイルスが出現することも多く、それによる急性肝炎(breack through hepatitis)が発生することも少なくない。
・インターフェロン(IFN)
IFNα (スミフェロン®、オーアイエフ®)
IFNα2b(イントロンA®)
IFNβ (IFN®、フエロン®)
・核酸アナログ製剤
ラミブジン Lamivudine(ゼフィックス Zefix®) :元々HIV治療薬として開発された。耐性ウイルス出現が多く、近年は新規使用には用いられていない。
アデフォビル Adefovir(ヘプセラ Hepsera®) :ラミブジン耐性のウイルス治療薬として承認された。ラミブジン耐性ウイルス出現時にラミブジンと併用で用いられる。
エンテカビル Entecavir(バラクルード Bareclude®) :ラミブジンよりウイルス抑制作用が強力で、現在はほぼ核酸アナログ製剤として第一選択で用いられている。催奇形性があり、妊娠の可能性がある女性には投与できない。
テノフォビル Tenofovir(ビリアード Viread®) :核酸アナログ製剤の次世代薬。日本ではB型肝炎には未承認。抗HIV薬としては日本・海外で広く使用されている。B型肝炎ウイルスに対しても海外では良好な成績が報告されている。
テルビブジン Telbivudine:LdT(Sebivo® Tyzeka®)
クレブジン Clevudine(Revoivir®)
基本的に年齢によって治療選択される。
35歳未満:免疫応答によるセロコンバージョンが期待され、免疫賦活作用もあるIFN治療が選択される。ウイルス量が多い場合、核酸アナログ製剤との併用療法が行われる。
35歳以上:セロコンバージョンの可能性が低く、核酸アナログ療法によるウイルス抑制治療が選択される。ウイルス量が多い場合、IFNとの併用療法が行われる。また、核酸アナログ療法は催奇形性があるため、挙児希望の場合はIFNが行われる。
・肝庇護療法
抗ウイルス療法以外に、ALTの正常化を計る目的で、以下が用いられる。ただ、肝庇護療法はC型肝炎には比較的効果はあるが、B型肝炎にはあまり効果を示さない場合も多い。
グリチルリチン(SNMC:強力ネオミノファーゲンC®)
ウルソデオキシコール酸(UDCA:ウルソ®・ウルソサン®)
肝臓加水水解物(プロヘパール®)
小柴胡湯(漢方):IFNとの併用は間質性肺炎のリスクが高まるとのことで併用禁忌薬
●治療ガイドライン
・35歳未満
ALT≧31IU/Lで
HBe抗原陽性例は、HBV DNA量 5 log copies/mL以上
HBe抗原陰性例は、HBV DNA量 4 log copies/mL以上
肝硬変では、3 log copies/ml以上
HBe抗原陽性かつHBV DNA量7log copies/mL以上
①IFN長期投与 (24-48週) ②Sequential療法( Entecavir + IFN連続療法) ③Entecavir
HBe抗原陽性かつHBV DNA量7log copies/mL未満
①IFN長期投与 (24-48週) ②Entecavir
HBe抗原陰性かつHBV DNA量7log copies/mL以上
①Sequential療法( Entecavir + IFN連続療法)② Entecavir
HBe抗原陰性HBV DNA量7log copies/mL未満
①経過観察または Entecavir② IFN長期投与 (24週)
・35歳以上
ALT≧31IU/Lで
HBe抗原陽性例は、HBV DNA量 5 log copies/mL以上
HBe抗原陰性例は、HBV DNA量 4 log copies/mL以上
肝硬変では、3 log copies/ml以上
HBe抗原陽性かつHBV DNA量7log copies/mL以上
①Entecavir ②Sequential療法( Entecavir + IFN連続療法)
HBe抗原陽性かつHBV DNA量7log copies/mL未満
①Entecavir ②IFN長期投与 (24-48週)
HBe抗原陰性かつHBV DNA量7log copies/mL以上
①Entecavir ②IFN長期投与 (24-48週)
HBe抗原陰性HBV DNA量7log copies/mL未満
①Entecavir ②IFN長期投与 (24-48週)
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