★痙攣重積
●問診
・年齢
・初発か否か
・発熱の有無
・下痢・嘔吐の有無
・痙攣の持続時間・回数、痙攣の型(左右差、眼球偏位など)
・意識状態、呼吸状態
・既往歴、内服歴、家族歴
・発作状況:何かの最中か?食事中?入浴中?TV視聴中?
・時間帯・時刻:睡眠中?覚醒中?入眠後・覚醒後の経過時間は?
・前兆:何か発作が始まる前の予兆は?
・発作の始まり・部位:体の一部から発症? あるいは体全体に同時に発症?
・発作型:強直性?間代性?意識消失?ミオクロニー(ビクッとするもの)?脱力?
・発作誘因:特定のゲーム?光刺激?図形パターン凝視?など
・発作回数:単発性?シリーズ形成性(一定間隔で連続して生ずるもの)?群発性?
・発作持続時間:正確に時計で何秒〜何分続いたか?
・眼球偏位・眼球運動:上転?側方注視?正中位?眼振(律動的な眼球の動き)など
・眼瞼の動き:律動的な眼瞼のれん縮(ふるえ)はないか?
・口の動き:そしゃく運動?口角の引きつり?
・発声:意味のない発声は?何か語句は?
・下顎の状態:強く噛みしめていたかどうか?
・顔色・口唇色の変化:チアノーゼ(青紫色の変化)?蒼白?
・頭部の動き:左右に回旋?
・手・上肢の動き:繰り返す指・手・腕の動作はないか?
・四肢姿勢変化:フェンシング肢位(片腕伸展・対側腕屈曲・伸展側への頭部回旋)など
・刺激・呼びかけに対する反応:
・その他:便失禁・尿失禁・反復性の嘔吐などは伴っていたか?
●検査
・血算、分画
・生化学(Na、K、Ca、P、Mg、AST、ALT、LDH、CK、BUN、Cre、Glu、CRP、NH3、凝固、乳酸、ピルビン酸、ケトン体、血ガス)
・抗てんかん薬血中濃度(クロナゼパム、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン等)
・血清保存(HSV6,7)
・便保存(エンテロウイルス)
・インフルエンザ、アデノ、溶連菌
・ノロ、ロタ、アデノ
・尿検査
・頭部CT
・髄液検査
・上咽頭・血液・尿・便培養
・胸腹XP
・ECG
・脳波
・頭部MRI
●治療
まずは、モニター、酸素、アンビューを用意する。
1.ダイアップ座薬(4mg、6mg、8mg、10mg)
0.4mg/kg(0.3-0.5mg/kg)挿肛
10kgのとき4mg
2.セルシン原液(10mg/2ml)
0.4mg/kg(0.3-0.5mg/kg)iv
10kgのとき4mg(0.8ml)
3.ドルミカム希釈
ドルミカム10mg/2ml+生食8ml(1mg/ml)
0.2mg/kg(0.1-0.3mg/kg)iv
10kgのとき2mg(2ml)
4.ノーベルバール
ノーベルバール15mg/kg+生食10〜20mlを10分以上でdiv
10kgのとき150mg
5.ホストイン
1V10mlにホストイン750mg含有している
22.5mg/kgを速度3mg/kg/min投与
10kgのときホストイン3ml+生食10〜20mlを8分以上でdiv
20kgのときホストイン6ml+生食10〜20mlを8分以上でdiv
6.ラボナール
ラボナール300mg+蒸留水30ml(10mg/ml)
3-5mg/kgiv
10kgのとき30mg(3ml)
7.プロポフォール
プロポフォール1-2mg/kgで静注
※ルート確保困難の場合
セルシンまたはドルミカムを口腔・鼻腔投与、注腸投与する。
※ドルミカム持続静注
0.1-0.5mg/kg/hr(0.2mg/kg/hr)で持続静注する。
ドルミカム50mg(10ml)+生食40ml 1mg/ml 10kgのとき2ml/hr
※ラボナール持続静注
ラボナール1-5mg/kg/hrで持続静注
※プロポフォール持続静注
プロポフォール2-5mg/kg/hrで持続静注
※アレビアチン(250mg/5ml/A)
アレビアチン18〜20mg/kg原液または生食で希釈し、1mg/kg/minの速度(最大50mg/kg)で投与する。
前後に生食でフラッシュする。
アレビアチン持続静注は5〜8mg/kgを分2で静注する。
※ノーベルバール持続静注
ノーベルバール2.5-5mg/kgで持続静注
※ホストイン持続静注
ホストイン7.5mg/kgで持続静注
※抗けいれん薬の持続時間
セルシン(ジアゼパムDZP):半減期は20時間と長いが、すぐに体内の脂肪に取り込まれるので作用時間は短い。
ドルミカム(ミダゾラムMDZ):半減期2時間。作用時間30分程度。
ノーベルバール(フェノバールPB):半減期90時間と長い。
ホストイン(フェニトインPHT):半減期20時間と中間型。
ラボナール(チオペンタールTHP):半減期は6時間と短くないが、脂肪組織への移行が速いため、血中濃度が下がり、早く作用が切れる。
★胃腸炎関連痙攣
●症状
ウイルス性胃腸炎に罹患後、2〜3日後に無熱性痙攣発作を示し、24時間以内に群発することが多い。
2-3分の短い痙攣。
●検査
採血(痙攣重積の内容と同じ)
脳波
●治療
1.テグレトール 5mg/kg 単回投与(内服できない場合は胃管から投与)
2.ワコビタール座薬 4-7mg/kg/回(座薬:15、30、50mg)
ノーベルバール15mg/kg 静注
3.キシロカイン2%(100mg/5ml/A)+5%Glu5ml(10mg/ml)
2mg/kgを1〜2分で静注
10kgのとき20mg(2ml)
※キシロカイン(リドカイン)
2mg/kgをゆっくり静注する。
5%Gluで希釈し、2-4mg/kg/hrで持続静注する。24時間以上痙攣再発なければ漸減中止する。
リドカイン半減期は2時間。
※ノロ脳症に注意する。