●概要
何らかの感染がきっかけとなり、免疫反応が過剰となり、血管炎を起こし、紫斑、腹痛、関節痛などの症状を来す。
3歳から10歳に多く、男女比は2:1で男児に多い。
約3分の1の症例で再発が見られる。
●臨床症状
紫斑が対称性に四肢伸側や臀部に出現する。
腹痛や関節痛を認め、腹痛は疝痛様、上腹部痛が多い。血便、消化管出血、消化管穿孔の症例もまれに認められる。
約半数で腎炎(血尿・蛋白尿)を合併する。その80%は発病後1ヶ月以内で、ほとんどが3ヶ月以内に出現。大部分は自然に治癒し、継続治療が必要なのはごく一部。
下腿の点状出血(100%)
腹部症状(70%)
関節症状(70%)
腎炎(50%)(1か月以内に75%)
蛋白尿(25%)
腎不全(1-5%)
●検査
血小板
凝固
第13因子
尿検査(3~6か月フォロー)
●治療
・安静
・ステロイド
プレドニン1~2mg/kg 分2-3 経口
腹痛が強い場合は入院し、水溶性プレドニン1~2mg/kg/day 分3 静注
・抗アレルギー薬、止血薬、鎮痛剤
ぺリアクチン0.3mg/kg、アタラックス1-2mg/kg、アドナ2mg/kg、トランサミン25mg/kg:有効性不明
カロナール10mg/kg、ブスコパン0.5mg/kg:一時的
・血液第13因子製剤
・ステロイドパルス療法
・ステロイド剤及び免疫抑制剤(シクロフォスファミド、シクロスポリン)併用療法
・血漿交換療法
・ACE阻害剤、アザチオプリン、MMF、ウロキナーゼなどの併用
●予後
予後は比較的良好。
繰り返す症例でも全体的な生命予後は良好で、致死的な症例は1%未満と考えられている。
中枢神経合併症や消化管穿孔のなど重篤な合併症の存在には留意すべきである。
・腎合併症
紫斑病性腎炎は血管性紫斑病の20~30%に認められるが重症な腎炎の合併は1%程度。
尿蛋白陰性の場合は無治療。
尿蛋白/クレアチニン比0.5以下では抗血小板薬(ジピリダモール 5mg/kg)、ACE/ARB製剤投与する。それ以上では経口ステロイド薬(プレドニン 1mg/kg)を追加して経過観察する。そして2~3週間以内に改善がみられない症例は腎生検の適応と考える。
臨床的にネフローゼ症候群、または腎生検上ISKDC grade IIIb以上の場合にはパルスーウロキナーゼ療法を行う。(メチルプレドニン20mg/kg+5%ブドウ糖100~200ml+ウロキナーゼ2500U/kgを3日連日で投与、1週間毎3クール施行。)その後は半年から1年をかけて経口ステロイドを減量中止する。効果は治療後2週間以内には明らかとなる。
これらの治療にも反応しない症例ではシクロスポリンの投与や血漿交換の併用などが有用である。
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